2014年09月04日

You'd Be So Nice To Come Home To

"You'd Be so Nice to Come Home to"と表記される事も。


言わずと知れたコール・ポーター(Cole Porter 1891-1964)の作詞・作曲による1943年の作曲。
映画 "Something to Shout About"の為に書かれた。


"Something to Shout About"は同年の公開で、2つのオスカーにノミネートした作品。
(ただし日本では未公開。
アメリカでもVHS,DVDの発売は行われていなかったが、
日本国内では著作権が消滅した為、視聴覚資料として探せば閲覧できる)

内容は架空のヴォードビル劇場を舞台に、ジャネット・ブレア演ずるヒロインがショウの成功の為に数多の困難に立ち向かう姿が描く典型的なブロードウェイ・ミュージカル映画。
同曲は主演のヒロイン、ジャネット・ブレア(Janet Blair)とドン・アメチ(Don Ameche)によって劇中で歌われる。



日本ではヘレン・メリル(Helen Merrill)の歌唱で有名に。
この時の邦題は「帰ってくれたら嬉しいわ」で、名付け親は大橋巨泉。
(大橋巨泉は元々ジャズ解説者で、自身もレコーディング作品を残したり数々の邦題や訳詞を作っている)

ちなみに原詩により近いニュアンスだと、
タイトルは「君がいる家に帰れたら嬉しいのに」もしくは「帰った時、君が家に居てくれたら嬉しいのに」といった感じ。
(後に、大橋巨泉自身も誤訳だったと認めて、盛んにラジオ等で訂正しており、ジャズ・ヴォーカルとなった娘さんも自身のエッセイなどでそう記している)

歌詞は、冬の厳しい寒さ等と対照させ、「君がそばに居てくれたら幸せだ」という内容を繰り返す甘いラブソングだが、前述のタイトルの日本語訳そのものに関しては、前置詞の解釈など巡って複数の意見がある。


日本ではヘレン・メリルのイメージもあってか女性から男性に向けて歌ったものという解釈が強いが、ヴァース部分の歌詞や映画での使われ方からすると男性が女性に向けて歌ったものといったニュアンス。


原曲は4小節のイントロ、16小節のヴァースを備えるが、
ジャズでは32小節でABAC形式のコーラス部分に独自のイントロやアウトロを付け加えて演奏される事が多い。

ちなみにヴァース部分の方が、やや強引に愛を呼びかけてる印象だが、
その後に続くコーラス(スタンダードとして定着している部分)では、
実際には恋愛相手がそばにいない寂しさを反語として表現しているともいえる。
例えば、「君がいてくれれば天国だ」という歌詞は、「君がいない今は地獄の様だ」という意味を暗示している。



第二次世界大戦中の作曲とあって、
「無事帰還出来る事を願う兵士」や「恋人の帰還を願う恋人」の心情を願った内容という解釈も普及しているが、
元々映画の為に作られた事やコール・ポーターの作風から言って後付けの解釈だともいえる。

(それはそれで悪いとは思わないけど)
*他にもジャズ・スタンダードには、元々あったヴァース部分の歌詞を無視したり映画やミュージカルといった原典の文脈に触れない為(あるいは単に「思い入れ」の為)、独自の解釈が成立している楽曲は数多い)

原典に沿えば、さほど深刻でもなく、離婚や立場などの問題でともに居られない恋人同士がその切なさを歌ったとも受け取れる。


元々シンプルな構成な為、様々なリハーモナイズの録音が存在する。
特にインストにおいては、奏者がそれぞれに個性ある和声付けを駆使したものも多い。
posted by Clark at 00:42 | Comment(0) | JAZZ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月03日

ジャズスタンダード邦題誤訳まとめ


そんなわけで。


Somebody To Watch Over Me 「誰かが私を見つめてる」
タイトルは文章ではなく句。somebodyは不特定の誰かではなく、意味としては「私を見守ってくれる人」。

You'd Be So Nice To Come Home To 「帰ってくれたら嬉しいわ」
大橋巨泉の誤訳としてあまりにも有名な邦題。原意は「貴方の待っている家に帰れることが嬉しい」。

As Time Goes By 「時の過ぎゆくままに」
歌詞の内容は邦題とは逆に、「時が過ぎても」変わらないもの。

Can't Get Started With You 「いいだしかねて」
詩的な訳ながら、言い出せないのではなく行動を起こした結果、上手くいかなかったというのが歌詞の内容。

On the sunny side of the street 「明るい表通りで」
意訳としては十分アリだけど、原意は通りの陽の当たっている側を歩くという事。通り全体が明るいわけではない。

Every Time We Say Goodbye 「いつもさよならを」
原題は「さよならを言う時はいつも」の意。

Softly, As In A Morning Sunrise 「朝日のようにさわやかに」「朝日の如くさわやかに」
歌詞は、恋は「朝日の様にこっそりと」忍び寄ってくるというもの。

Do you know what it means to miss New Orleans 「ミス・ニューオリンズを知っているかい」 「いとしのミス・ニューオリンズ」
ミスは女性の敬称のmissではなく、失うのmissが正解。

Yesterdays「昨日のこと」
1933年のミュージカル"Roberta"の為に作られた歌曲。複数形で、もう一つの邦題「過ぎ去りし日々」の方が妥当な訳といえる。

Just Friends 「とても仲良し」
日本でも用いられるように「ただの友達(恋人にはなれない)」が原意。

Don't Get Around Much Anymore 「浮気はよして」
相手へのセリフではなく、主語のIが省略されたのが原題。つまり、"Ain't Misbehavin"と同じで、こちらは「浮気はやめた」という正しい邦題が付されている。

Norwegian wood 「ノルウェーの森」
これも有名だけれど、原曲の意味はノルウェイ産の木材のこと。
posted by Clark at 00:48 | Comment(0) | JAZZ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月01日

WALKIN'"


#Sharp×♭Flat×(in Eb in Bb) | Reset


ジャズ・スタンダード「ウォーキン」のコード進行です。
上部のタグをクリックするとコード譜を12キーに転調できます。

WALKIN'


'54年にプレスティッジから出たマイルス・デイヴィス・セクステットの録音で有名なファンキー・チューン。
作曲はリチャード・カーペンター。カーペンターズの兄の方と同名だが別人。シカゴ出身の会計士だが、作曲家ではなく版権ビジネスに携わっていた人間らしい。
原曲はサキソフォニスト、ジーン・アモンズの"Gravy"に酷似しており、アモンズを本当の作曲者とする説もある。




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Jazz Standard Chord Song Book'

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posted by Clark at 14:25 | Comment(0) | JAZZ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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