2014年08月23日

Tips for Tip

Tips for Tip
チップをいかにして受け取るか?
これは、路上演奏家にとって大問題だ。

僕らも最初は恥ずかしがって何も用意していなかったけど、チップを渡しにくるお客さんがいると、その度に演奏を中断しなければならない。その上、中には、チップを渡すためだけに演奏が終わるのを待ってくれるお客さんもいる。
それでは、という事でギターケースを開いておくようになったのがそもそもの始まりだ(通行を妨げないように、正面ではなく斜め横に置く)。

やがて僕らは、見せ金を置くという事も覚えた。
何も入っていないギターケースに最初のチップを入れるのは躊躇するものだし、そこにお金を入れていいものなのか迷う人も多い。
そこで、あらかじめ少額の小銭をケースの中に入れておくのである。
(二人で演奏している時は、この小銭の為に稼ぎの分配が曖昧になる事が良くあった)

それから、ケースの中に替えの弦やハーモニカといった「小物」を入れておくとよいという事も、後から知った。
たまに、有り難いお客さんがお札を入れてくれる時、風で飛ばないようにと「おもし」に使ってくれるのだ。
(高額紙幣は、一曲終わるごとにポケットに回収するのは言うまでもない)

(あるアメリカ人のミュージシャンは集金用の段ボール箱のふちにマジックで"FOR THE MUSIC"(音楽の為に)と書いていた。そして、お金を入れようと箱の底を覗き込むと、"THANK YOU"の文字。やるぜ)

さて、そんな感じでギターケースを開けておくと、お金以外にも色々なものが入ってくる事がある。

居酒屋やカラオケの割引券、他のミュージシャンのフライヤー、ゲームセンターのメダル(なぜ?)、ライブのチケット(チケットだけでは場所が分からず行けなかった)、パスネットやバス回数券(これは助かる)、謎の電話番号が書かれた紙(怖くてかけられない)、自販機の飲み物やコンビニのおにぎり(有り難く頂きます)…。

けど、その中で一番嬉しいのは、(ちょっとクサいけど)立ち去る時や何かを入れてくれる時の、お客さんの励ましや感謝の言葉、そして笑顔だったりする。
隣にいるF氏は演奏中は楽器に集中しているから、一曲終わった後にギターケースに入った金額を見ておどろく事も少なくない。

でも、僕が路上では極力前を向いて演奏するようになったのは、そんな彼らの笑顔を見逃したくないからなんだ。
『路上日記』加賀ヒロツグ


タグ:路上演奏
posted by Clark at 14:40 | Comment(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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